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 「ニューヨーカーの条件」
  第9回 世界を動かすユダヤ人から学べ

私がNYで起業した時の最初のお客さんは、5番街でクリニックを持つ
ユダヤ人医師だった。公私共にお付き合いをし、随分とビジネスに
関して教わった。

数年前に再会した時のことだ。私が事業に失敗し倒産したことを
話すと、彼は言った。

「失敗して、これでやっと我々の仲間入りだ。偉大な実業家は必ず
失敗をしている。これで君も実業界で博士号を取ったのだよ」と。

失敗なくして、事業の成功はないと言うわけだ。日本では失敗した
ことで、まるで罪人のように手痛い烙印を押されるが、歴史的に
様々な迫害を受けながらも、気丈で頼もしいユダヤ人らしい言葉だ
と感じた。

ユダヤ人といえば「銀座のユダヤ商人」の異名をとる日本マクドナ
ルドや日本トイザらスの創業者藤田田さんを思い出す。残念ながら、
2004年に亡くなられたが、事業に成功しただけではなく「ユダヤの商人」等の
ベストセラー本を出し、ソフトバンクの孫正義さんをはじめ、
多くの起業家から「金儲けの天才」として尊敬されていた。

その藤田さんから亡くなる前年に直筆の手紙を頂いた。私はそれを
遺言のように大切にしている。マクドナルドの便箋に、細かい字が
びっしりと詰まっていた。そこには

「NYでビジネスをするのは、ご苦労が多いと思います。
が、事業は1人では出来ません。良いユダヤ人と組んで事業を進める事です。
日本人はアタマがユダヤ人のように働きません。ユダヤ人は賢明です。

事業は私のモットーである”勝てば官軍”です。
アメリカは日本と違ってパートナーシップが発達しています。
広い心を持ってパートナーと組むべきです。
又最初から大物を狙い事業を進めるべきで、
小物を狙うのは容易ですが大成は望めません」と書かれている。

そして「アメリカは知恵があれば事業拡大しやすい国です。
日本の様にネタミとかヤッカミがありません。
大いに頑張り石に、かじりついてもやり通す強いに人なってください」

と結んであった。

金融、メディア、法律、医療に強い勢力と影響力を持つユダヤ人。
彼らは金を道具として考えている。
だからこそ、誰はばかることなく正々堂々と金儲けに徹することができる。

日本人の私は時折、長年の友人でもそのドライな金銭感覚に舌を
巻いてしまうことがある。

そもそもユダヤ人とは?という疑問を持ち、ユダヤ人を知りたくて、
湾岸戦争の翌年に、イスラエルのテルアビブ大学に留学したことがある。
クラスメートの親は、弁護士、医師、会社社長だらけ。勉強をしてないように
見えたが、皆優秀でびっくりした。

ユダヤ人は、人種ではなく、ユダヤ教を信仰する者(宗教集団)、
あるいはユダヤ人を母親にもつ者(民族集団)という2つの捉え方があ
る。多くの大企業の設立者や天才科学者にユダヤ人がいる(ロスチャ
イルド、アインシュタイン、スピルバーグなど)。

しかし、優秀がゆえに疎まれて、第2次世界大戦時ではナチに大虐殺
を受けたという悲しい歴史もある。

日本だと日本のマナーを気にするが、NYにいるなら世界レベルでやりたい。
何といっても、そういうものに身近に触れられるのがNYの醍醐味だ。
NYはユダヤ人だらけ。せっかく、NYにいるのだから世界のビジネスの
最先端を行く人々の術を盗んだほうがいい。ユダヤ人のしたたかさ、
合理性、国際感覚、倫理観を学びたいものだ。

板越ジョージ

by amedorinewyork | 2008-08-06 22:34 | ニューヨーカーの条件

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