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■ 連載 「ニューヨーカーの条件」 2
     by 板越ジョージ

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ニューヨーカーの条件  

第2回 勘違いも大事。周りなんて関係ない。

「ジョージさんみつけた!」と突然のメールが飛び込んできた。
不肖の妹分、結城秀美からだ。8年ぶりだろうか。「勘違い女」
の異名をとる彼女はお嬢様育ちで、何事にも不器用な性格。

日本の大学を卒業後にニューヨークへ渡り、まもなく私と知り合
った。

ニューヨークで大学に在籍中、FBIの刑事映画を見て、突如
「私はFBIに就職します」と宣言した。当然、周囲から失笑を買った。

それもそのはず、日本国籍の者がFBIやCIAに就職できるはず
がない。努力してもどうしようもないことを目標に立てたのだ。

しかし、彼女は周りの目なんか気にせず、ひたすら夢に向か
って突き進んだ。日本でそんな夢をぶちまけたら皆に相手にされ
なくなる。

しかし、ニューヨークは夢に寛大な街だ。ニューヨークの大学で
は刑事司法修士を取得し、その後博士課程に進学。

ボクシングなどジムで体も鍛えた。彼女は馬鹿みたいに夢に突き
進んでいった。私はここで彼女の行方を見失った。

きっと現実を知り、普通に日本で就職したんだろうと思っていた。

しかし彼女は違っていた。

なんと国際刑事警察機構(インターポール)のアジア女性第一号
として犯罪情報分析官のポストが決まり、フランスに渡っていた
のだ。

そして現在は、ニューヨークでアルカイダとタリバン関連のテロ
対策スペシャリストとして国連で活躍しているのだ。テロリスト
を追いかけ、世界の紛争地域を駆け巡っていると言う。

彼女を見てつくづく思う。

熱意とやる気があれば叶わない夢はないのだと。勘違いだと否定
されても、周りを跳ね返すくらいの信念があれば夢は実現する。
そして誰にも負けない努力。

彼女は振り返る。日本にいたらとても実現できなかったと。

彼女の座右の銘は
“Where there's a will, there's a way”
(意志のあるところに道は通ず)だと言う。

先人は「自信というものは経験に裏づけされたものだけだ」とい
う。

しかし、若いうちは当然経験がない。彼女のように、なかば勘違
いしてでも夢を思い続ける自信も大切だと思う。常に自分を信じ
て、自分には無理、恐れ多いとチャレンジする前に諦めず熱意を
持って前に進む。

自身が凹んだり傷つくこともある。しかし、やらなければ何も始
まらない。夢は逃げないし言い訳もしない。

言い訳して逃げているのは自分自身なのだ。



板越ジョージ (起業家・作家)
東京・葛飾生まれ。在米20年。元ジャニーズJr.。高校卒業後、
バイク便で留学費を稼ぎ、単身渡米。サウスカロライナ大学国際
政治学部卒業。在学中にバックパックを背負い世界35カ国を放浪。
イスラエル、ロシア、チェコ、グアテマラにも留学。95年に広告
代理店業イタショーアメリカを創業。7つの会社を経営し、株式
公開直前までいったが、9・11の影響で沈没。多額の借金を背
負った。現在は、アメリカン★ドリームパブリッシングなど3つ
の会社をNYと東京で経営。
著書に「リベンジ人生道場」等。「グラウンド・ゼロ」はベスト
セラーに。

by amedorinewyork | 2008-01-03 03:59 | ニューヨーカーの条件

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