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1960年頃から「インターナショナル化(国際化)」ということが叫ばれ、1990年代後半頃から「ボーダレス化」という言葉が流行りました。そして近年は「グローバル化」という言葉が使われるようになりました。

これらの言葉の変化と合間って、国と国とのあり方も微妙に変化してきたのだと考えています。このことに関して評論家の堺屋太一氏は1997年の著作でこう述べています。

「国際化とは文字通り「国」があって「際」が盛んになる状況だが、ボーダレス化とは「国」の境自体が希薄になる現象である。

例えて言えば「国際化」とは高い塀をめぐらした家同士が門戸を開いて行き来する状況、どんなに行き来がさかんでも、誰が出て行き、何が入ってきたか、門を見張っていれば知ることができた」。

このように、インターナショナル(国際)化時代は、自分にとって不都合なものの出入りは差し止めることができました。次のボーダレス化は、周辺の塀や壁が無くなることです。

たとえば、それぞれの家の出入りや門を通る必要もないし、誰に断ることも無いのです。入れたくないものも勝手に入ってくれば、出したくないものも勝手にでていってしまうことになります。まさにこれが今のインターネットの情報社会の縮図ではないでしょうか。


そして昨今叫ばれているのは「グローバル化」です。グローバル化とは、国の間の塀が取り除かれ、国境の無いボーダレス社会になった今、地球として一つの単体になっていくという考え方のように感じます。それはインターネットから生まれたソーシャルネットワークに象徴されるように、人と人とが国境を越えてつながっていくことです。

そもそも「グローバル化」という言葉を好んで議論をしているのは日本人だけだというのをご存知でしょうか。

アメリカやイギリス、シンガポールやインドなどの国ではそんなことは当たり前なので、議論すらされていないのです。日本は島国であり、200年余り鎖国をしてきたので、海外とお付き合いする歴史が浅く、常に海外との付き合い方に関して議論をします。

確かに日本人の謙虚さや真面目さ、東日本大震災にみる忍耐力は世界で賞賛されました。しかしこれからはグローバル化の本質として、異なる文化を理解し、交流を通した他社との相互理解が大切で、その中で日本のさらに新しい才能を見出し、日本が成長していかなければならない時代です。2020年に開催される東京オリンピックで海外の人を受け入れることは、新しい日本の才能を開花させるいい機会だと思います。 

●ソクラテス型と孔子型にみる異文化コミュニケーションの違い

海外で打って出ていくためには日本と諸外国のコミュニケーションスタイルの違いについて知る必要があるでしょう。ニューヨークで長年異文化コミュニケーションを専門にして、現在は東京で事務所を構えるイマジナの奥山由実子社長は、コミュニケーションスタイルの違いにソクラテス型と孔子型というモデルを当てはめます。

ソクラテス型とはご存知のとおり、弟子との問答で知られている古代ギリシャの哲学者から名づけられています。双方の意見をよしとするスタイルです。それに対して、孔子型とは、論語で知られる儒家の始祖、孔子にちなんで名づけられました。子曰く(先生がこうおっしゃった)とあるように、序列を重んじ目上の人の話を重んじ、目下の人が聞くというスタイルです。まさに会議のスタイルがこの2つに当てはまるでしょう。

詳しく説明します。ソクラテス型の会議の進め方は、あえて相手と反対の立場をとって議論し、積極的に発言することが評価されます。聞き手と話し手の双方が情報を提供しあい、聞き手が話し手に異議を唱えてもよいというのが特徴です。議論が美しい、相手と違う意見、話し合いが目的で、結論が明確なのです。しかし、これらがうまく機能しない時の理由として、聞き手か話し手の準備不足であるときや、聞き手が何も反応しないときです。いわゆる会議がしらけている状態です。

孔子型というのは、会議などでは長幼の序を重んじ、目下が目上の話を聞き、話し手が主導権を握ります。聞き手が話し手に異議を唱えることはあまり評価されません。実は、1対1の場で、密にコミュニケーション(根回し)をしているのも特徴です。これらがうまく機能しない場合の理由としては、話し手が準備不足である場合と、聞き手が反論する場合です。これはいうまでも無く、日本は孔子型で、欧米諸国はソクラテス型となります。(日経アソシエート2010年6月15日号)

日本国内だけでやっていくのであれば、今のスタイルでもよいかと思います。そもそも2000年以上の歴史のある日本人としての根本は変わるのは難しいのです。したがって、グローバル化だといって、アメリカナイズする必要は無いのです。大切なのは、ソクラテス型と孔子型の両方を理解した上での、スイッチの「オン」と「オフ」を入れられるかが大切になってきます。私は、日本人には必要によってあわせられる適応能力があると信じています。

日本人は一様に真面目な国民性なので「英語をやれ」といったら国内総動員で学ぶことができるでしょう。先のオリンピック選考会でも「おもてなし精神」を持って、とてもまじめに対応してきました。外国人観光客に対して、こんなに親切丁寧な国民はみたこともないでしょう。今、日本人に必要なのはソクラテス型に慣れるための海外経験と、場所に応じた切り替えなのです。

グローバル人材 ●ソクラテス型と孔子型にみる異文化コミュニケーションの違い_f0088456_1259270.png


その他ソクラテス型 ドイツ3 イタリア4 トルコ2 メキシコ2 ノルウェー3 ブラジル4 ナイジェリア1 ペルー1
その他孔子 フィリピン2 UAE2 台湾3 サウジアラビア3 

図表:インテック・ジャパンによる国内外3万人以上のビジネスパーソンへのアンケート調査を元に著者が作成

by amedorinewyork | 2015-05-28 13:04 | ビジネス・起業

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