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アメ★ドリ2010年2月号より

「アメリカのホテルを日本のホテルと思うなかれ」その24 by 奥谷啓介

「ドアマンの役割-さようなら、松井選手」


松井選手がニューヨークヤンキーススタジアムでの初めてのデビュー戦で満塁ホームランを打ってから久しい。あの一発にニューヨーク中が沸きかえった。ときを同じくして長嶋名誉監督がNHKの取材でニューヨークにお越しになりプラザにチェックインした。私がエスコートからもどると、ヤンキース広報担当で松井選手と行動を共にされている方から電話が入った。「これからプラザの部屋で松井が長嶋名誉監督と対談をするんです。松井は自分の車でホテルに乗りつけます。大変申し訳ないんですが、しばらく車をとめさせていただけませんか?」

私はあわてて五番街のエントランスへとかけ下りた。プラザのドアマンは決して車をホテルの前に駐車させない。私が車を見張るからということで頼みこまない限りは“ピーッ”と笛を吹いて向こうへ行けというジェスチャーをしてしまう。松井選手も同じ扱いをされるだろうと私は慌てたのだ。ところが下りてみると、すでに松井選手の車はエントランスに横付けにされていた。“間に合わなかったか”と、がっかりした私だが、それにしてはどうして車だけ置いてあるのだろうかと首をかしげていると、ドアマンが私のもとへやってきた。「ゴジラの車は俺があずかることにした。これがキーだ。だから安心しな」と、人さし指で車のキーをくるくると回している。

前日の一発で大スターになった松井選手の顔はすでに新聞の一面で取り上げられてみんなに知られていた。普段は冷たい態度をとるドアマンだが、相手がニューヨークで最も熱い男、松井選手とあっては、そんな態度はとれない。喜んで鍵を受け取ったという経緯だった。後にも先にも、ドアマンにこんな特別扱いされた人を私は知らない。

アメリカのドアマンはしかめ面をしている人が多い。ホテルを利用しに来る人はお金を使ってくれる人だから、もちろん大歓迎。しかし、用もなしにふらっと入ってくる人がいると、匂いをかぎ分けてにらみをきかす。それで敷居が高くなって入れなくなってしまう人が結構いる。彼らはガードマンとしての役割をも担っているのである。


著者紹介
奥谷啓介 2005年春、ニューヨーク・プラザホテルの閉館とともに、21年間のホテル歴に終止符を打ち文筆家に転向。「男の隠れ家」、「日刊ゲンダイ」等でエッセイを掲載。著書に「世界最高のホテル プラザでの10年間」(小学館)、「海外旅行が変わるホテルの常識」(ダイヤモンド社)、「サービス発展途上国 日本」(オータ パブリケーションズ)がある。NYでは紀伊国屋書店にて発売中 www.okutanikeisuke.com

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by amedorinewyork | 2010-02-04 08:21 | 月刊 アメ★ドリ

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