バックパック世界旅行記 中米編 12
2009年 11月 17日
バックパック世界旅行記~中米編 12
「ところで君は、どのくらい旅してるの?」
「実はまだ二日目なんだ。アメリカに留学してて、いま大学の夏休み中」
「そうか。ラテンは初めて?こういう旅も?」
「そう。記念すべきバックパッカー・デビュー!」
「でもはじめてだと色々疲れるでしょ。勝手も違うし、汚いし、臭いし」
「それは覚悟で来たから大丈夫かな。それより参ったのは子どもたちの物乞いだよ。
あんなに幼い子供が悲しそうな目で群がってくるんだ。状況のむごさを感じて、怒りと悲しさと、
何とかしてやりたいって思ったよ」
「ふーん。確かに都会はそういうの多いからなぁ。でも少し田舎へ行けば、逆に牛を追ったり、
一人で大きな荷物運んだり、生きるための役割を担ってる子供たちの姿が凛々しいって思うこともあるよ。
それがいいのか悪いのか分からないけど、日本の同じ世代の子供たちよりよっぽどしっかりした顔に見えて魅力的だと思ったことさえある」
「僕は大学で国際政治を学んでるんだ。ああいうのを見ると政府の怠慢、無責任さを感じてしまうよ」
「そうかそうか、そういう視点も大事だろうな」
彼は少しはにかみながら言った。
「でもここには日本にはない素敵なものもいっぱいあるよ。せっかく旅をするなら、
そういうのも是非見ておくといいよ。僕はその「虫地獄ジャングル」のあと、
実は「蝶の楽園」にたどり着いたんだ」
「蝶の楽園?」
「ああ、結構険しい森を登っていかなきゃならないんだけど、その先に蝶の保護区があるって
地元民から聞いた。それでしばらく登ってみると、急に開けた平原にでるんだ。
そこで僕は自分の目を疑ったよ。何千、何万という蝶がその空間を舞っていたんだ。
よく見ると、オレンジに黒で縁取りされたアゲハチョウみたいなんだけどさ、蝶の羽って粉がついてるでしょ。
あれが光るんだ。太陽の光でさ。だから金箔の雪みたいなんだ。
それでよく見ると地面や木の上もびっしりでさ、木の枝は蝶の重さで垂れ下がってるんだよ。
度肝を抜かれたね。違う世界に来たみたいだった。あの蝶たちは、アメリカやカナダから毎年越冬のために同じ場所に戻ってくるんだって。なんで場所がわかるのか不思議でしょ?まさに神秘的だった」
僕はその話にすっかり引き込まれた。
彼はこの旅でスペイン語をマスターしたようだ。まあ、彼の場合はスペイン語を話せないのは死活問題だろう。ホテルの薄暗い中庭で彼の持っていた芋虫の入ったテキーラーで一杯やる。
「サルー(乾杯)!」
アメリカでは日本人を見かけてもなんだかよそよそしく、無視してしまうことが多い。
しかしこういうへき地で会う旅人同士ならば何も気にせず思ったこと、
感じたことをスラスラと言えていた気がする。
彼曰く、旅の醍醐味とは、その国のありのままを見て、出会った人々の優しさとか、
未知の出会いをいとおしいと思えること。僕はそういう考え方もあるのかと、少し新鮮に思った。
彼は僕よりもっと楽に、柔軟に、楽しんで旅をしていると感じた。
でも自分が旅を始めて強烈に感じた初めての感覚や使命感をぬぐうことは出来なかった。
旅の魅力ってなんだ?

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by amedorinewyork | 2009-11-17 21:49 | バックパック世界旅行記