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ニューヨーカーの条件 第17回
 「本当に必要なもの」 


アメリカに来て間もない頃のある日、一台のラジカセを買った。
ところがあっという間に壊れてしまった。

憤慨して友人のアメリカ人に話すと、「いくらで買ったの?」
と聞かれた。値段を答えたらそれでは仕方がないと一笑された。
私が買ったのは一番安いラジカセだった。

日本ではお店で買ったものなら無条件で安心するが、アメリカ
ではそうはいかない。アメリカに来て感じたことは、極端に安い
ものと高いものがあるということ。電気スタンドひとつをとっても、
300円で買えるモノから30万円のモノまである。

そしてモノが氾濫する中、値段の差はとてもシビアに出る。
だから見極める眼が必要になると痛感した。

資本主義国のアメリカはマーケティング技術が発達している。
世界一と言ってもいいだろう。

その中でモノを買わせる戦略に人々は乗せられて、不必要なもの
を買ってしまう傾向にある。

例えば車にしても、実は新車なんか買わなくても、明日からそれ
がなければ生きていけないという人はいないだろう。

それでも新車が売れていくのは、多かれ少なかれ企業の戦略に
乗せられているからだ。

またそれに対して金融会社が上手にローンをつけて無理やり
買わせてしまうというのが昨今の現状だ。

実は今回の「100年に一度の不況」と呼ばれるこの状況は、確かに
金融の破綻からきたのかもしれない。

しかし金融危機というのはきっかけであって、実は世界のマーケ
ティング技術が進歩しすぎて、過剰生産で需要と供給の極端な
アンバランスから起こったのかもしれない。
不必要なものに人類が翻弄されたのだ。

そしてこの「100年に一度の不況」はその戒めなのかもしれない。
こんなことを考えていた。

こんな考えは経済学者でもなんでもない私の絵空事に過ぎないかも
しれない。しかし景気の悪い時、世の中の循環が良くない時に、
無理やり何かを変えようと頑張っても、達成することは難しい。

経済は追い風の時もあれば向かい風のときもある。だから悲観する
必要などない。

数年耐えればまた、いい時は必ずやってくる。
むしろその時に波に乗れるよう準備をしておくことが大事だ。

「安かろう悪かろう」に慣れてきてしまった私達だが、さて次は
どんな社会に変わっていくのだろうか。

今おかれている状況を自分なりに冷静に分析して反省し作戦を練る、
充電の時期が大切なのだ。

初出:月刊「アメリカン★ドリーム」4月1日号

by amedorinewyork | 2009-04-21 23:53 | ニューヨーカーの条件

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