以前、「THE21」で掲載された文を
リンク先で紹介しましたが、読みづらいということなので
許可を得て、私の取材分のみを掲載します。


「THE21」 2010年3月号 (PHP研究社)

「日本人ニューヨーカー」のポジティブ仕事術

リーマン・ショックから1年半――。その震源地のいまは?
NYに暮らす日本人の生き方&働き方はどう変わったか?

ニューヨークは想像以上の不況だった。マンハッタンは空きビルが目立ち、
かつてのきらびやかさは見る影もない。右を向いても左を向いても、リーマン・
ショックの傷跡は色濃く残っていた。それなのに、人びとの悲壮感は不思議
なことにそれほどでもない。悲観しても何も始まらないことをこの街は知っている。
そんなタフな街に住む4 人の日本人たち。

彼らは日本的な冷静さと真面目さをもちながら、アメリカ的な前向きさと
大胆さをも兼ね備えていた。

NYの新価値観
 リーマン・ショックから一年以上が経った昨年末。華やかなはず
のニューヨーク(以下、NY)の街並みは、その様相を変えていた。
クリスマス・シーズンが始まったというのに、イルミネーションは
思いのほか地味で、道行く人びとも明らかに観光客とわかる。
ニューヨーカーは夜の街にも週末にもあまりみかけない。
五番街の目抜き通りさえ、「For Rent」と書かれたビルが点在。

こうした変化に、NY在住二十二年の板越ジョージさんは、
「不況? 僕は予測できていましたよ。だから、リーマン・ショックの
半年前から準備していました」という。

板越さんはフリーペーパー制作、雑貨ショップ経営、起業コンサ
ルティングなど、さまざまなビジネスを手がける実業家。その経験
で早くから異変を感じ取っていた。

「まず、突然、フリーペーパーの広告出稿が減ったんです。また、
創業何十年という格式あるレストランが、二〇〇七年後半くらいか
ら四、五軒潰れはじめた。どれも、『この店が潰れるなんてあり得な
い』というようなお店。これはヤバイなと思いましたね」

次なる余波は小売業に。雑貨の売上げがどんどん下がっていく。
そこですぐに手を打った。まず雑貨の卸しを切って売上げの三割を
自ら減らし、さらには営業・販促部門を思いきってなくしたという。

「とにかく、こういうときは売上げを無理に上げる努力はしないこ
と。その代わり、出費は徹底的に抑えました。電話やインターネッ
トの契約を安く交渉し直したりして、経費を約二〇%削りましたね」

しかし、社員のリストラはせず、給料も減額しなかった。いまは踏
ん張るときと覚悟を決めた半年後、リーマン・ショックは起こった。

板越さん自身は、一九九五年にニュージャージーに家を購入し、
二〇〇四年に売却。「購入価格の三倍の値で売れた」という、
住宅バブルの恩恵を受けたほうだが、それでも不況の波には逆らえない。

「僕自身も、二〇〇八年からライフスタイルを変えましたよ。マン
ハッタンの高級アパートを引き払い、目の前が海というロッカウェ
イビーチに引っ越しました。以前は夜な夜なパーティー三昧まい。
仕事も二十四時間呼び出されてタクシーで向かうアグレッシブな毎日。
でもいまは、ヘルシーフードを家でつくって、波の音を聞きながら
ゆったり。マンハッタンまで車で四十五分かかるけど、打ち合わせ
以外、週四日は自宅で仕事をしています。家も広くなりました。し
かも生活費は三分の一。違う意味でのリッチを手に入れましたね」

不況だから仕方なく郊外に─。そんなマイナスな価値観でニューヨーカー
は動かない。いままでの生活を見直して、新たなライフスタイルに。
かといって、ダウングレイドはイヤ。より心地のよい、より快適な暮らしへ、
人びとの意識が変化しはじめた。

それを裏づけるように、NYでは週末などに余計なお金を使わず、
いかにFREEに楽しむかという価値観をもった人たちが急増
している。彼らは、無料イベントに参加したり、美術館やギャラリ
ーの無料開放に出かけたりするのを好む。この流れは、アッパーな
人びとにも浸透しつつあり、「贅沢はカッコ悪い、節約するのがク
ール」という意識は確実に広がってきているようだ。

中略

不況はしばらく続くでも対処法はある

不況の風は厳しくても、活気はあるNY。ストリート・アーティ
ストが集まるソーホーで、段ボールや新聞紙にペインティングして
いる作品をみた。不況なら不況なりのエコアートがある。本来捨て
られる素材をうまく活かす。そんなアイデアから刺激を受ける街。

「情報は街で得るんです。銀行の窓口に並びながら会話を交わす。
『マネーマネーマネー、いくら預金があるかで態度が変わるのよ。
三十年近くも長くつき合っているのに、四行目の合併でこのザマよ』。
次々と変わる担当者に嫌気がさしたというおばさんの言葉に、銀行
の信用もガタ落ちなんだなと気づかされた」と板越さんはいう。

「不況はもうしばらく続くと思いますよ。もっと底があるかもしれない。
でも対処法はあります」まず、あまりニュースに翻弄されないこと。

自分の周りで起こっていることをみて、冷静に判断すること。
シリアスになりすぎたり、人目を気にしすぎたりしないこと。

次に、働き方やビジネス環境、意識を変える。無理に焦ってガツ
ガツするのではなく、底を打つのを待つくらいの姿勢で。経費を使
う余計な動きやリスクの高いものは避けて来るべき時に備える。

「何があっても失われない財産といえるのが、知識と人脈と健康です。
だから、こういうときは勉強をしたり、人に会ったり、身体に気をつけたりする。
僕たちは9・11で、生きているだけでいいというのを経験しました。だからこそ、
どうやったって生きていけると信じています」

どんなに不況でも、自殺をする選択をしないのが、アメリカ、N Yだ。
ここが、日本と大きく違う。

「もし、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の新シーズンが始まったなら、
状況は一変しているでしょうね。キャリーは連載を打ち切られ、友達は仕事がなくなって
いるかもしれない。でも、ライフスタイルを変えたり、意識を変えたりすることで、新しいリッチ
を味わうことはできる」と板越さん。

NYはまさに新たな変換期。その変化の波のいくつかは近い将来、日本にもやってくる。
ここで紹介した四人の話から学べることは、決して少なくないはずだ。



板越ジョージ 実業家
「 焦って何かするでもなく、 ただ寝て待つでもない。
悪いときには悪いときなりの やり方がある」

1988 年、アルバイトで貯めた100 万円を資金に渡米。95 年に
ITASHO Americaを設立。現在は、出版、広告、小売り、コンサル
タント業など、さまざまな事業を手がけている。著書に、『リベ
ンジ人生道場』(扶桑社)など多数。フリーペーパー「アメリカンド
リーム」の発行、NY異業種交流会の主催など、幅広く活躍中。


写真・取材・文佐藤智子

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第10回 東京NYアメ★ドリ交流会  4月16日(金)
大橋弘昌氏 NY州弁護士、「負けない交渉術」著者


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by amedorinewyork | 2010-03-01 14:40 | 対談・インタビュー

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