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日本人になりたいニューヨーカー 第2話
日本のオタク文化がアメリカを変える 2

私は人生の半分以上をアメリカ、主にニューヨークで過ごしてきた。高校卒業後渡米し、すでに二〇年以上が経つ。アメリカ南部の大学を卒業し、ニューヨークに渡り九五年に起業した。一時は七つの会社を経営し、株式公開直前までいったが、二〇〇一年同時多発テロの影響で沈没し、多額の借金を背負った。現在は出版、小売店・卸業、コンサルティング会社を経営している。 

長いニューヨーク生活で栄枯盛衰を経験してきたわけだが、その傍らで、衰えることなく、むしろ加速しながらアメリカを侵食し続ける日本文化の勢いには目を見張るものがあった。実はかつて経営していた会社の一つは日本のアニメやゲームを扱っており、自分が現在のニューヨークの日本ブームのはしりに関わっていたという感覚もあった。

当時はエコノミック・アニマルとしか認識されていなかった日本が、九〇年代半ば位から、アメリカ人にとって「クールでポップな日本」としての認識に変わった。そこから現在までに至る日本ブームの過程とそれを受け入れていくアメリカ人の感覚に、私は人一倍興味を持って注目していた。

では、そもそも何故アメリカで日本のアニメが流行るのか。それはストーリー性があること。ストーリーが今までのアメリカのハリウッド世界のような勧善懲悪の単純なストーリー展開でなく、大人も楽しめるようなリアルなドラマと豊かな感情表現があること。そして絵が美しく細部まで丁寧に描かれていることなどが挙げられる。

今アメリカのどの書店でも売られているのは、日本のマンガのような絵をどのように描くかを丁寧に指導している本だ。目、顔の輪郭、髪の毛、体など、ステップに分けて練習できるようになっている練習帳みたいなものが沢山並んでいるから驚いてしまう。それを、いい大人の黒人が毎朝の通勤時間に地下鉄に乗りながら真剣にやっていたりする。

最近は、宮崎駿監督の映画もアメリカでもヒットしている。チャンネルをひねると「蛍の墓」や「千と千尋の神隠し」が英語吹き替えで流れていたりするのだ。例えば「風の谷のナウシカ」でナウシカが初めてテトに出会う場面がある。人間になつく事は無いとされた野生動物のキツネリスの子が、怯えるあまりナウシカの指を深く噛む。しかし全く動じないナウシカにひるんだテトは、やがて済まなそうに彼女の指を舐め始める。日本人なら誰でも知っているようなアニメの名シーン。このような繊細な心と心の交流がアニメの中で展開されることが、アメリカ人にとってはハッとするほど新鮮なのだ。

以前、全く日本のアニメを観たことが無いというアメリカ人の友人に、浦沢直樹作の本格ミステリー「モンスター」というアニメを見せた事がある。これはどちらかというと大人向けの推理サスペンス的なストーリーだが、第一話を見始めると、彼は何故かシリアスなシーンでこらえきれないようにクスクスと笑い出す。
一緒に観ていて不快になった私が、
「何で笑うんだ」
と尋ねると、
「アニメなのにこんなにシリアスな顔をして真面目なセリフをはいているのが可笑しくてたまらない」
と言った。

つまりアメリカ人にとってアニメとは不真面目なくだらない内容をやるという概念しか無かったのだ。この時彼の目には、恐らく日本で言えばまるでお笑い芸人たちが大真面目にサスペンスドラマをやっているかのように見えたのだと思う。

しかし、二話、三話と進んでいくうちに彼はストーリーにどんどん引き込まれていった。そしてついには真面目に犯人は誰かを推理するようになった。最終話に大興奮した彼は、他にも日本のアニメを観たいと言い出したのだ。新しいアニメの楽しみ方にアメリカ人が目覚めた瞬間を見た思いがした。

私は以前、アメリカで日本の本を専門に扱う書店を数店舗経営していたことがある。南部のアトランタの店舗でさえも、日本人顔まけの漫画ファンがいて、彼らは英語の漫画ではなく、日本語の漫画を買うことを好んだ。

また当時はビデオなども英語の吹き替えよりも、日本語そのままのものに字幕がついたものが人気だった。英語のものよりも日本からのものなので、何倍もの価格がしていたにも関わらず、日本語のままのものを手に入れることに意義を感じているのだという。

日本人になりたいニューヨーカー 第2話


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8月26日(水) ABPSビジネスセミナー 「ブランド戦略に役立つ法律知識」 内藤博久弁護士

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9月25日(金) 東京NY異業種交流会 ミニライブ&トーク 庄野真代

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