ニューヨーカーの条件 14回
最高に不平等なニューヨーク


私は会社には週に三-四時間程度しかいない。仕事をしてないわけではない。
私は仕事が趣味のようなもので週末、日昼夜や問わずに仕事をしている。ある意味、仕事の定義が少し違うのかもしれない。

私のオフィスはニューヨークのイーストビレッジ。以前はグループで百人近い従業員がいたが、9・11で失った。現在、オフィスには社長室もなければ、私の机もない。空いている席に座るだけだ。打ち合わせはもっぱら近所のカフェ。9・11の教訓から、私はパソコンがあればどこでも仕事ができるようにしている。場所にこだわらず、徹底的にPCを活用し効率化をはかっている。

以前、取引先のリッキーズに行った時の話だ。リッキーズとはNY在住者なら誰もが知っているハイセンスな雑貨屋。NYに数店、マイアミなどにも店舗がある。我社ブランドの商品を取り扱いたいというオファーを受け、数年前にオーナーに呼ばれてオフィスに行った。

コロンバスサークル近くにあるそのオフィスは、おそらく自宅兼用だろうか豪華なマンションの高層階にあった。高速エレベータを降りオフィスのドアを開けると、いきなり高そうなお犬様がお出迎え。三、四つの部屋をぶち抜いた、とても広い空間。

そのオーナー夫妻は私より少し年上といった感じの四〇代。二人ともマッチョなカラダで陽に焼け、いかにも健康そう。服装はとてもカジュアルだが、センスがよい。人生を楽しんでいるというオーラで満ち溢れていた。美人スタッフに会議室に通された。会議室は最新のオーディオ、ITシステムが装備されていた。冷えたボトルの水を出された。

オーナー夫人との商談は、みかけとはかけ離れたかなりシビアでタフなものであった。しかし、商談が終われば気のいいお姉さんになった。会議室の奥にはマンハッタンを見渡せるガラス張りの部屋にプライベートジムがあった。どの部屋もとても遊び感覚がありセンスがいい。平日はここにいて、週末は恐らく支店のあるマイアミあたりの別荘にいるのだろう。

とてもニューヨーカーらしいライフスタイルを垣間見た。彼らは忙しいに違いないが、余裕を持って自分の生活も大切にしている。それがニューヨーカーだと思う。

私もアッパーイーストのマンションに住んでいた頃、そこをオフィス兼自宅にしていた。それまではNJのコンドで暮らしていたのだが、ここに来て生活の違いに驚かされた。

アッパーイーストでは、平日の昼間だというのに、中年男がのんきにうろついている。スーツを着ている人は滅多にみない。実は大体のここの住人は週に四-五日ほどしかマンハッタンには住んでない。金曜日の午後になれば、入り口の車寄せは忙しくなる。皆郊外の別荘に行ってしまう。週末のマンションはがらんとして、地下のランドリールームは静まりかえっている。日曜日の夕方はまた忙しく皆戻ってくる。

特筆すべきは、ここらのドアマンの優秀さだ。プライドを持っている。百世帯以上はあると思うが、住人の一人一人の名前を覚えている。入居したその日から、たどたどしい発音でMr. Itagoshiと呼ぶ。

地下の駐車場も、車を毎日のように磨いてくれている。今までの、どちらかといえばアメリカの粗雑さ、サービスのいい加減さに悩まされてきた生活から一八〇度激変した。
チップ制度とはシビアなもので、渡すチップの額やタイミングによって受けるサービスが目に見えて違ってくる。このサービスはニューヨークならではでないか。

ここでは不平等というのはあたりまえ。よい待遇を望むのであれば、それなりに頑張らなくてはいけない。NYには平等という甘えはない。差別ではないが歴然たる区別がある。ニューヨークにいるとそれをいつも痛感させられる。

ライフスタイルを楽しむ。ニューヨーカーは仕事だけではなく生活も楽しんでいる。そのライフスタイルを手に入れるために、惜しみなく努力し、金を稼ぐ。区別の垣根を越えた者には最良の環境が用意されているのだ。誰にでも可能性はある。最高に平等なニューヨークの不平等だ。

板越ジョージ

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by amedorinewyork | 2009-01-09 12:10 | ニューヨーカーの条件

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